基調講演
2024年9月21日(土)
10:30〜12:00
“Roses and Thorns; Using reflective practices to learn and grow”
「薔薇と茨:学び、成長するための反省的実践の活用」
Patricia Doelitzsch 先生
保護者以外では、教師が幼児の社会的・情緒的発達の原動力である。教師自身の社会的・情緒的な調整と能力は、生徒のニーズに応える能力に強く影響する。人間関係や家族とのつながりを重視した幼児教育プログラムは、子どもの成功に重要な役割を果たす。最も有望な結果を示す研修は、反省的実践やマインドフルネスの要素を取り入れた研修である。
Association for Mindfulness in Education(教育におけるマインドフルネス協会)が定義するマインドフルネスとは、「…優しさと好奇心をもって、今ここに注意を払うこと」(Meiklejohn, et al, 2012)である。マインドフルネスを学び、実践している教師は、柔軟性や自己制御を含む社会的・感情的能力の向上を示すとされている。これらの能力は、教師自身のストレスレベルを管理し、子どもたちやその家族との関係を築き、モデル化やコーチングを通して、社会的・情緒的能力を生徒に教える能力をサポートする。 重要な学習概念は、「自己と他者への共感と思いやり」である(Meiklejohn, et al, 2012)。
教育におけるリフレクションとは、自分自身や他者の考え、反応、感情を認識することである。これは多くの場合、教育者の小グループで定期的に行われる。 子どもたちを指導していると、肯定的なものも否定的なものも含めて、多くの感情や力強い気持ちが湧き上がってくることが多い。 内省とマインドフルネスを活用することで、教師と子どもは、自分たちの感情に反応するのではなく、対応する余裕を生み出すことができる(Meiklejohn, et al, 2012)。
マインドフルネスのレベルが高い教師は、統計的に有意に、担当する子どもとの関係が緊密であり、マインドフルネスと反省的実践を実践している教師は、困難な行動をより冷静に解釈し、注意力、教室の構造、積極的な指導により、困難な行動に直面することが少なくなるかもしれないという考えを強調している(Becker et al, 2017)。
〈略歴〉
パトリシア・ドーリッチュ教授は、米国カリフォルニア州ウッドランドヒルズにあるロサンゼルス・ピアース・カレッジの児童発達科主任である。 10代の子ども2人の母親でもある。
ドーリッチ教授は、2002年より幼児教育学の教授として、30年以上にわたり、定型発達と発達遅滞の両方の子どもとその家族に携わってきた。
ドーリッチ教授の焦点は常に、挑戦的な行動をとる幼児と、彼らの生活に関わる家族や教師である。 現在の博士論文 薔薇と棘: センター・ベースのケアにおける幼児教育者と幼児特有の社会的・情緒的ニーズは、米国、特にカリフォルニア州における幼児教育者の教師訓練と専門能力開発の一環としての反省的実践の必要性に焦点を当てている。
子どもたちの行動の背後にある神経科学や、教師がケアする子どもたちとの関係の背後にある神経科学に関心のある方々と、この情報を共有できることを光栄に思う。
全体シンポジウム
「対話で紡ぐ保育実践を可能にするもの ~米韓中日の対話を通して考える~」
2024年9月22日(日)
第1部 13:00〜14:30
第2部 14:45〜16:30
ファシリテーター・企画趣旨説明:古賀
登壇者
米国:Patricia Doelitzsch(Trish)先生、(Professor, Child Development
Los Angeles Pierce College)、八谷美幸先生
中国:劉郷英 先生(福山市立大学 教授)
韓国:森貞美 先生(聖徳大学 教授)
日本:龍孝幸(千葉明徳土気こども園)
企画趣旨
子どもの遊びを中心とし、子どもの興味や関心に基づいて展開する保育は世界の各国で実践されています。レッジョ・エミリア市の保育は、大きなうねりを起こし、今も世界各地で影響を与えています。国際幼児教育学会でも中国の安吉プレイなどを紹介してきました。それぞれの国で、文化や背景を大切にしながら保育は多様に展開しています。共通していることは、保育者が子どもと対話をして保育を創っていくこと、そして子ども同士の対話も重視しているということです。その一方で、子どもたちの声を聞きながら保育を展開していくことは容易なことではありません。個々の保育者の能力で語るものでもありません。
これらの豊かな保育実践を可能にし、支えるものは何でしょうか。このシンポジウムでは、米韓中日で紹介する保育実践がどのような背景によって支えられ、実現しているのかについて取り上げます。各国から話題提供をしていただき、それをもとに参加者同士のディスカッションも計画しています。豊かな保育実践を可能にするうえで、その園や組織が、どのような工夫と努力を重ねてきたのか、研修や保育者の同僚性など、子どもたちの声を聞きながら展開する保育実践のヒントを探りたい。
音楽部会
シンポジウムテーマ「主体的で対話的な音楽表現の可能性について」
ワークショップテーマ「乳幼児の発育・発達に応じた音楽表現の実践について」
絵本部会
ワークショップテーマ「絵本の読み語りあれこれ」
ワークショップ
詳細は後日お知らせします。
スクールビジット
2024年9月20日(金)
9:30~11:30
今回のスクールビジットでは,まず午前のセッションで二つの園に分かれて子どもたちが実際に遊んでいる場面や園の環境を見学します。そして午後のセッションで合流し,現場の具体的な姿や環境構成をもとにしたディスカッションを行います。
見学する園は千葉明徳短期大学附属幼稚園と明徳土気こども園です。園のホームページを参照いただき,申し込みの際にどちらの園をご希望されるか選択してください。
ホームページのURLはこちら
千葉明徳短期大学附属幼稚園(https://chibameitoku.ac.jp/youchien/)